タイ国諸法、、、ネット検索など
 
 
タイ国 外資規制
 
タイの外資規制 | 弁護士法人マーキュリー・ジェネラル
http://www.mercury-law.com/thai-gaishi
 
タイ外資規制に関する最近の 政府解釈と違反リスク対策 - KPMG(Adobe P
https://assets.kpmg.com/content/dam/kpmg/pdf/2016/03/jp-thailand-fba-20151115.pdf#search=%27%E3%82%BF%E3%82%A4%E5%9B%BD++%E5%A4%96%E8%B3%87+%E8%A6%8F%E5%88%B6%27
 
 
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タイで会社設立をお考えの方へ
 タイへの会社設立をお考えの方に、知っておくべきポイントとサポートしてくれる専門家をご紹介する特集ページです。
 
▼タイで会社設立するために知っておきたいポイント
・タイに会社設立(法人設立)する際の進出形態とそれぞれのメリット・デメリット
・タイで会社設立(法人設立)するための9ステップ
・タイで会社設立(法人設立)するために必要な書類・準備
▼タイでの会社設立について相談先を見つける
・タイの会社設立に詳しい専門家一覧を見る
・ヤッパン号海外進出サポートデスクに相談する
 
 掲載情報については2015年12月31日時点における情報に基づいて、ヤッパン号編集部で作成したものです。ただし、その掲載情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(ISHIN SG PTE. LTD.)は何ら保証しないことをご了承ください。直接、専門家の方々にお尋ねすることをお勧めいたします。くれぐれも慎重にご判断ください。
タイで会社設立するために知っておきたいポイント
 
タイに会社設立(法人設立)する際の進出形態とそれぞれのメリット・デメリット
 
 タイに進出する際に選択する進出形態は、「現地法人」、「支店」、「駐在員事務所」、「統括会社」の4種類に分けられます。
 このうち、日本企業がタイで会社設立する際に一般的なものは、現地法人になります。 現地法人には7種類の会社形態がありますが、その中でも基本的な会社設立形態は、「Limited Company (日本で言う株式会社)」です。
 「支店」の場合、可能な業務範囲は現地法人と変わりません。ただ、外国人事業ライセンスの取得が非常に難しく、ガスプラントの設立など、大量の資本と信用が必要なプロジェクトベースでの利用以外、ほとんど支店は利用されません。
 「駐在員事務所」は、営利目的の行為が禁止されており、タイ国内での商品の管理や受け渡し、市場調査・販売促進活動のみ、活動を認められています。支店と同様に、設立時にB300万の最低資本金が必要になります。経費を本社に計上できるため、節税にはなりますが、登記完了まで時間がかかったり、設立も難易度が高かったり(設立が認められないケースも多い)、現地法人と比べて設立が大変なため、検討した結果、現地法人を設立する企業が多いようです。
 逆に最近、少し注目されているのが「統括会社」としての会社設立です。既に2002年より、地域統括事務所(ROH)の制度は開始されており、他国にある拠点の経営管理をする場合、外資100%での会社設立や、法人税の軽減など、優遇措置が取られていました。 しかし、2015年より、国際地域統括本部(IHQ)と国際貿易センター(ITC)という制度を施行。ROHよりも、制限が少なくなり、税制優遇は大きくなっているため、タイの統括拠点としての活用に注目が集まっています。
 
下記が、「現地法人」、「支店」、「駐在員事務所」の主な違いになります。
 
タイで現地法人を設立する際の主な進出形態は下記の2種類です。
[Limited Company(有限責任会社)]
 日本で言う、株式会社に該当する会社設立形態です。公開会社と非公開会社 (Private Limited) に分けられますが、日本企業がタイへ進出する際は、ほぼ確実に非公開会社を選択します。外国資本100%で進出できる業種は主に輸出業・製造業くらいで、サービス業をはじめとするその他の事業は「外国人事業法」により、外資が50%未満でなければ進出が認められません。ただし、BOIの投資奨励事業として認可された場合、資本金が一定額を超える場合は、規制の対象外となります。
 
[Partnership:パートナーシップ(共同事業体)]
 タイにおけるパートナーシップの法人形態には、非登録通常パートナーシップ、登録通常パートナーシップ、有限責任パートナーシップの3種類が存在します。これら3種類のパートナーシップは、法的責任や債務の範囲が違っていますが、事業体の責任が個人にまで及ぶためリスクが高く、あまり利用されていない法人形態です。また、パートナーシップの場合も、外資が50%以上の場合は「外国人事業法」によって制限を受けます。
 
【その他の関連するQ&A】
 
タイでビジネスをする場合、どのような形態で行なうことが出来ますか?
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タイで会社設立(法人設立)するための9ステップ
 
 タイで会社設立をするとなると、最も一般的な法人形態は、現地法人 (Private Limited) です。現地法人を設立するために必要な期間や費用は、おおよそ下記のとおりです。
タイ会社設立のための期間と費用】
- 所要期間:2ヶ月 (BOIの申請が必要な場合は4ヶ月程)
- 必要経費:B10万〜B15万
- 最低資本金:なし (但しB100万以下の場合、スムーズに設立できない可能性がある)
 タイの会社設立には、事業開始までに2ヶ月の所要期間を見ておくのが妥当です。ただし、BOIの申請を検討している場合は、準備から認可取得までに4ヶ月ほど掛かると想定されるため、会社設立と同時進行で準備を進める方が良いでしょう。BOIを申請するかどうかで、設立するべき会社形態も変わってくるため、BOIの申請についても、登記手続きに入る前に調査・検討を終わらせておく必要があります。また、タイ資本を50%以上で法人設立したい場合は、信頼のおける現地パートナーを見つける必要があるため、その準備期間も考えておきましょう。
 タイ現地法人として会社設立する場合、最低資本金はありませんが、最低でもB100万に設定するケースが多いようです。B100万以下の場合だと、登記手続きの際に担当官に悪印象を持たれる事があり、会社設立がスムーズに進まない可能性があります。また、日本人1人を雇用する度に、B200万が必要なため、例えば、2名の日本人を雇用予定の場合、B400万の資本金が必要になります。
 
タイでの会社設立のステップをまとめると下記のような流れになります。
 
下記で、各ステップの詳細についてご紹介します。
 
▼ステップ1:各種規制に関する調査
 タイで会社設立を始める前に、まずは各種規制について調査することが大切です。外国人事業法を始め、外為管理法、外国人職業規制法、移民法、工場法、関税法等の様々な規制が、進出の可否、選択するべき会社の形態などに大きく関わってきます。
 
▼ステップ2:BOIやIEATについて調査・検討
 タイでの会社設立に際して、BOI投資委員会(Board Of Investment: BOI)や、IEATの投資奨励に該当するか調査しておくことも非常に重要です。BOIの特典としては、外国資本100%での会社設立許可、機械輸入税や法人所得税の免税など、進出に大きなメリットがあります。
 
▼ステップ3:タイでの会社設立形態の選択
各種規制や、BOIなどの投資奨励事業情報などを調査した結果をもとに、どのような会社形態で進出するべきかを判断します。基本的には、支店や駐在員事務所の形態で進出する日本企業は少なく、Private Limitedとして、株式会社としての設立が一般的です。ただ、外国法人(外国資本が50%以上)にするか、タイ法人(外国資本が50%未満)にするかの判断は非常に大切です。輸出業・製造業以外の業種ではBOIの認可が得られない限り、外国資本100%で会社設立できるのか、タイ資本を50%入れる必要があるのかが変わってきます。
 
▼ステップ4:会社名(商号)の予約・決定
 タイの会社設立では、会社名(商号)の予約は新会社の発起人が行う必要があります。商務省登録局に、類似の会社名がないか確認し、類似名がなければ、その会社名の使用許可が得られます。WEBからの申請であれば、即日予約可能です。その後、30日以内に、発起人が基本定款へ記載し、登録する必要があります。もし30日以内に登録されなかった場合は、会社名の予約は失効となり、再度予約しなければなりません。
 
▼ステップ5:基本定款 (MOA) の作成
 基本定款に、必要事項を記入します。基本定款記載事項は下記のとおりです。
- 会社名(商号)
- 資本金
- 発行株式数
- 一株あたりの額面価格(通常はB1,000・B100に設定するケースが多い)
- 会社設立目的
- 発起人3名の氏名、住所、職業、国籍、出資する株式数およびサイン
- 登記住所
- 株主の責任について
 すべてご自身で準備することも可能ですが、手間が掛かる上に、登記に失敗するリスクもあります。特にタイでは手続きが煩雑なため、自分で準備を進める方はほとんどいません。業者に任せた方が無難です。
 
▼ステップ6:定款登記
基本定款を登記します。発起人3名が基本定款にサインした上で、登記料を支払えば完了です。この際の登記料は、資本金の額で決まり、資本金がB10万につき、B50を支払う必要があります。(最低B500より最大B25,000まで)
登記完了後は株式の引受を行います。
 
▼ステップ7:会社設立総会の開催
株式の引受まで完了したら、発起人によって、設立総会を開催、次の事項を決定する必要があります。
付属定款(AOA:株主総会や取締役会などの規定・優先株に関する規定など)
発起人の設立準備行為に対する承認
取締役の選任と権限の決定 監査人の指定
 この際、監査人はタイ人の公認会計士でなければなりません。タイでは会社の規模に関わらず、全ての企業に監査義務があり、監査を担当するタイ人の監査人が必要になります。この際、タイ人公認会計士の氏名および免許番号の報告が義務づけられています。
 
▼ステップ8:会社設立登記 (最終登記)
設立総会開催後、選任された取締役は3ヶ月以内に、会社の登記申請をする必要があります。登記局に支払う会社設立登記料は、資本金B10万につき、B500(最小B5000、最大B25万)のため、資本金がB300万であれば、B1万5千の支払いが必要になります。もし3ヶ月以内に登記されなかった場合は、会社登記ができなくなってしまうため、注意が必要です。登記申請の際は、下記の項目が必要になります。
- 株主氏名、住所、職業、国籍、持株数(株主は常時最低3人必要)
- 取締役および代表取締役の氏名、住所、職業
- 代表取締役の代表権(サイン権)の形態(単独署名か共同署名か)および署名
- 本社および会社の各支所の住所
- 付属定款(株主総会、取締役会等に関する会社規則)
- 株式により受領した初回資本金払込み総額(登記資本の25%以上。なお外国人の労働許可の条件となる資本金額(1人につき最低B200万)はこの実際振込額。またBOI認可企業は生産開始までに登録資本の100%の振込が条件となっていることに注意)
会社登記完了後は、一般的な流れでは、依頼者(会社設立する企業)から指示されたとおりに発起人が最初の取締役を選びます。
 
▼ステップ9:タックスID番号の取得と税務登録(VAT)
 タイで会社設立した後は、60日以内に歳入局でタックスID番号 (法人ID) を取得することをオススメします。必ずしも取得しなければならないわけではありませんが、すぐに必要になるケースがほとんどです。申請の際に必要な書類は下記のとおりです。
- 賃貸契約書のコピー
- 家主のその場所の住民票(タビアンバーン)のコピー
- 家主の住んでいる住民票(タビアンバーン)のコピー
- 家主のIDカードのコピー
その場所の所有者が会社の場合は、会社登記簿とサイン権者のIDカードのコピー)
 
▼ステップ10:ビザ取得(労働許可取得)
 会社を設立したら労働許可取得が可能になりますが、まず、就労ビザ(ノンイミグラント・ビジネスビザ)を取得する必要があります。もし既にタイに観光ビザで入国している場合、観光ビザでは労働許可の申請ができません。そのため、ノンイミグラント・ビジネスビザを取得する必要があります。これは、タイ国内のイミグレーションか、国外のタイ大使館にて申請が可能です。
 就労ビザが取得できたら、次に、労働許可(ワークパーミッド)を取得します。タイ国内の労働局に取得申請します。この際に、十分気をつけて頂きたいのが、タイ人の雇用人数です。ワークパーミッドの取得条件として、外国人1名につき、タイ人を4名雇用する必要があります。進出時の大きな負担となるため、事業を計画する時点で、何名の日本人を派遣するのか、しっかり計画しておく必要があります。
 
▼ステップ11:銀行口座の開設
 法人口座の開設は、会社設立後に可能になります。もちろん、会社設立後にすぐ開設することも可能ですが、取締役最低1名がタイの労働許可を取得していることが条件になります。まずは、労働許可を取得してから銀行口座を開設しましょう。
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【その他の関連するQ&A】
タイの会社設立までの流れを教えてください。
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タイで会社設立(法人設立)するために必要な書類・準備
 
【会社設立に必要な書類&情報&準備】 資本金:最低B300万               
- 発起人:3名 (現地人1名を含む)
- 基本定款 (付属定款はなくても良い)
- 監査人(タイ公認会計士)
- 会社所在地
- 会社印
- 株主
- 決算日
- Bビザ
- ワークパーミッド
 
【記事監修】朝日ネットワークス (タイランド) 株式会社
http://www.yappango.com/keywordpage/thailand_company.html
 
 
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タイの労働法
 
従業員を解雇する際の手当
 
 まず前提として、タイは日本とは異なり働き口が多く、タイ人が日本ほど会社に執着することはあまりありません。
 
 タイでは解雇の際の金銭補償額が解雇の内容に応じて具体的に決まっています。また、解雇手当の支払いが不要であるケースが法律で具体的に明文化されています。ただし、合理性のない解雇が出来ないのは日本と同様です。また、合意退職の場合は、日本同様に解雇手当の支払いは不要です。
 
通常の解雇手当
解雇手当
勤務期間 手当金額 勤務期間 手当金額
120日未満 解雇補償金必要なし 3年以上6年未満 退職時の賃金180日分
120日以上1年未満 退職時の賃金30日分 6年以上10年未満 退職時の賃金240日分
1年以上3年未満 退職時の賃金90日分 10年以上 退職時の賃金300日分
有期雇用契約者の解雇
少なくとも1給与期間以上前に通知する必要あり。即時解雇の場合は、解雇手当の他に雇用報酬を支払う必要あり。
 
その他の法定の手当(会社側の理由での解雇)
@ 特別解雇手当(事業所移転の場合)
 30日以上前の事前通告義務あり。新事業所で働くことを望まない労働者には特別解雇手当の支払いが必要。
 
A 解雇手当の上乗せ(整理解雇の場合)
 業務縮小、機械導入、機械更新等による労働者の削減を理由とした整理解雇は60日以上前に事前通告義務あり。また、6年以上勤続した労働者には、勤続1年あたり15日以上の解雇金を通常の解雇金に上乗せして支払いが必要。
 
解雇手当の支払いが不要なケース
 労働者が「下記理由には該当しない」と解雇手当を求めて労働裁判所に提訴した場合、解雇事由に関する証拠が必要になります。タイの労働裁判では労働者側が優位であるため、労働者側に不正行為や規則違反などに対して(口頭だけではなく)警告書を作成し、証跡を予め揃えておくことが大切です。
 
1 契約期間満了の場合 契約期間は2年まで
2 業務上の不正行為を行ったり、使用者に故意に犯罪行為を犯した場合  
3 意図的に使用者に対して損害を与えた場合  
4 過失により使用者に重大な損害を与えた場合  
5 就業規則、使用者の合法的、正当な命令に違反し、既に文書で警告を受けている場合 警告書の有効期限は違反を犯した日より1年
6 正当な理由がなく、3労働日連続して職務放棄した場合 3労働日間の休日の有無は不問
7 最終判決により禁固刑を受けた場合 過失、軽犯罪によるものを除く
 
https://www.tk-sr.jp/business/asia_employment/thailand/index4_03.html
 
 
 
協議離婚は、
書面によって 2 人以上の証人の署名により行われ、その離婚の登録によって成立する。裁判離婚については、離婚の訴えを提起できる事由として、第 1516 条に(1)−(10)が列挙されている。
4ウィチャー・マハークン、西澤希久男「タイ家族法(上)」戸時 604 号 53 頁。
 
タイ民商法典 第1516条
離婚の訴えの事由は以下による。
(一)夫が別の女を妻または情婦のように扶養、または遇したとき、もう一方は離婚を訴えることができる。
(二)それが刑事上の過失であるかどうかに関わらず、夫または妻の悪品行で、もう一方が
(ア)著しい辱めを受けた
(イ)悪品行者の夫または妻であることによって軽蔑
憎悪の対象となった、または
(ウ)夫婦としての状態を受け入れた、または生活を共にした時に著しい損害、苦難を被ったとき、その当事者は離婚を訴えることができる。
(三)夫または妻がもう一方、またはもう一方の父母・祖父母の心身を傷つけた、虐待した、あるいは侮辱、軽蔑したとき、その程度が著しい場合、もう一方は離婚を訴えることができる。
(四)夫または妻が意図的にもう一方を一年以上遺棄したとき、もう一方は離婚を訴えることができる。
(四/一)夫または妻が過失により一年以上の禁固刑の確定判決を受け、もう一方がその過失に関与していない、または同意、感知していなかったとき、夫婦であることによってもう一方が著しい損害、苦難を被る事由となる場合、もう一方は離婚を訴えることができる。
(四/二)夫婦として通常の生活を共にできない事由により、夫または妻が自発的に連続して三年以上別居したとき、または裁判所の命令により三年以上別居したとき、双方とも離婚を訴えることができる。
(五)夫または妻が裁判所により失踪人宣告された、または住所あるいは居住地から三年以上にわたり出奔し、誰もその生死を確認できないとき、もう一方は離婚を訴えることができる。
(六)夫または妻がもう一方をしかるべく扶養しない、または夫婦関係に著しく反発する行為をなし、その行為によってもう一方が夫婦として生活に共にする状態、地位、関係を受け入れることで著しい苦難を受けたとき、もう一方は離婚を訴えることができる。
(七)夫または妻が三年以上にわたって精神異常となり、その精神異常が治る状態になく、かつ夫婦として生活を共にすることができない状態にないとき、もう一方は離婚を訴えることができる。
(八)夫または妻が品行に関する文面にした誓約を破ったとき、もう一方は離婚を訴えることができる。
(九)夫または妻がもう一方に害をもたらす重大な伝染病に罹り、その病気が慢性で治る見込みがないとき、もう一方は離婚を訴えることができる。
(一〇)夫または妻が、まったく性交できない身体状態にあるとき、もう一方は離婚を訴えることができる。
 
 協議離婚は、書面によって 2 人以上の証人の署名により行われ、その離婚の登録によって成立する。
 裁判離婚については、離婚の訴えを提起できる事由として、第 1516 条に(1)−(10)が列挙されている。
4ウィチャー・マハークン、西澤希久男「タイ家族法(上)」戸時 604 号 53 頁。
 
 
監護権
 監護権は、民商法典上の親権よりも狭い概念で用いられており、身体的な後見を指し、親権者とは別に子を実際上監護する者がいる場合に監護権が生じる。従って、親権を行使する者は、監護権者に対して子の返還を求める事が可能となる(第 1567 条)。実施法第 2 条では、監護権について、子の居所を決定する権利を含み、子を養育する権利であると規定する。
 監護権は法の適用、裁判所若しくは国の命令又は法的効果を伴う合意によって生じ得る。離婚訴訟係属中については、裁判所は当事者の一方の申立てにより、子の監護及び扶養について仮命令を出すことができる(第 1530 条)。夫婦が離婚する場合には、子の監護についても離婚の合意に含めて取り決めうる。またその合意には、子の面会交流及び扶養についても合意しうる。またその取り決めは、登録されなければならない。婚姻していない男女の子は、母の単独監護に服するが、母及び子が、男と子の嫡出性について合意し、嫡出性の登録を行った場合には、子の共同監護を認めうる。
子の監護に関する問題は、子を有する配偶者が離婚又は別居生活を行う場合に生じる。
 
別居および離婚の際の子の親権・監護
 タイの離婚制度は、協議離婚と裁判離婚が存在するが、協議離婚の場合に、配偶者はそれぞれの子の親権行使について書面によって合意する。書面にはどちらの親が親権を行使するか明確にしなければならず、不明確な場合には取決めはないものとみなされる。
そして、合意をしていない、又は合意し得なかった場合、子の親権については裁判所が決定する。裁判離婚の場合には、離婚事件を審理した裁判所が、それぞれの子の親権がどちらの当事者に帰属するかについても判断する。
 その審理において、配偶者が第 1582 条による親権の剥奪事由を有すると考えられる場
合、裁判所は配偶者の親権を剥奪し、子の幸福及び利益を考慮して第三者を後見人に選任する命令を出すことも可能である(第 1520 条)。また、その後見人に、不行跡又は選任後に状況の変化が生じた場合は、裁判所は子の幸福及び利益を考慮して、新たな後見人を選任する命令を出すことも可能である(第 1521 条)。
 
 裁判所が監護者を決定する中で最も重要なのは、子の利益である。裁判所では、以下のような考慮事項が示されている。
@ 幼い子については、母親優先(最高裁判所裁判例 303/2488)。
A 継続性、つまり子を養育している親が引き続き子を養育すべきである(最高裁判所裁判例3035/2533)。
B 兄弟姉妹は一緒にする、兄弟姉妹を別々にする特別の事情がない限りは、兄弟姉妹は一緒の親の下に暮らす(最高裁判所裁判例 9130/2539)。
C 子の希望及び感情の考慮、8歳を超えると子の意見を聞くことはふさわしいと考えられ、8 歳に満たない子の意見は裁判所が判断する際にあまり重きをおかない(最高裁判所裁判例1454/2454)。
D 学校及び家庭において、教育、宗教及び知的発達について、どちらの親が子によりよいものを提供しうるかを考慮する(最高裁判所裁判例 5484/2537)。
E 環境について、子が適した環境及び学校にあればこの環境を変えるべきではない
F 親子間での愛情及び愛着の考慮(最高裁判所裁判例 4062/2533)
G 親が子のために提供する施設及び医療的ケアを考慮(最高裁判所裁判例 4125/2528)
 上記基準を決定する際の資料について、少年家庭裁判所によって設立されている調査及び保護機関は、ソーシャルワーカーに子の監護事件において、子及び父母の評価を行わせる(手続法第167 条)。そして
 その評価書は少年家庭裁判所に手渡され、子の監護の決定の際に用いられる。また裁判所は、相応しいと考える場合又は当事者の求めによって、6 か月を超えない期間において試験的に未成年者の後見又は親権の行使について条件を設定することもできる(手続法第 164 条)。
ちなみに離婚における子の親権が争われた数は、2012 年では 3083 件であり家事事件全体 8868件の約 35%を占めており、最も多い(少年調査保護局の 2012 年の統計報告)。
 
刑法典には、
 正当な根拠なく、15歳に達しない子を親、後見人又は子の養育を行っている者から連れ去った者は、3 年から 15 年の懲役に処し、6000 から 30000 バーツの科料に科する(刑法典 317 条)。
ただし、親による連れ去りについては、刑法上の罪には問われない。
 
 
戸籍法76・78条、民法819条・766条
離婚する夫婦に未成年者の子がある場合は必ず夫婦の一方を親権者と定めなければなりません(戸籍法76・78条、民法819条・766条)。
 
 
タイの離婚制度には協議離婚と裁判離婚がある。
 
 裁判離婚をするためには、正当な離婚原因が存在することが必要となる。離婚原因としては不貞行為、不行跡、虐待、遺棄、受刑、別居、失踪、扶養義務違反、心神喪失、誓約違反、伝染性の危険な疾病、性的不能が挙げられている。以上 のように具体的離婚原因が挙げられているが、抽象的離婚原因が挙げられていないことから、上記の具体的な離婚原因がなければならないことになる。しかしながら、一年以上の遺棄で離婚請求ができることや、自発的に三年以上の別居に よって離婚請求ができることが規定されていることから、抽象的離婚原因の要素が含まれているとも考えられる。
 
 協議離婚が成立するためにはその協議離婚を登録すること(一五一五条)、夫婦間の子どもの 親権行使についての合意を書面にすること(一五二〇条)、 養育費の額を含めて子どもの養育に関する取決めを離婚合意の中に含めることが必要とされる(一五二二条)。
 
 
 
タイの裁判制度
(1)裁判制度
 タイの裁判制度は、三審制を原則としている。
 第一審裁判所としては、民事事件一般を審理する民事裁判所、刑事事件を審理する刑事裁判所、家事及び少年事件を審理する家事少年裁判所、労働事件を審理する労働裁判所、税務事件を審理する税務裁判所、知的財産権事件及び国際通商事件を審理する知的財産権・国際通商裁判所、破産事件を審理する破産裁判所がある。
 第二審の裁判所として4つの高等裁判所があり、最上級裁判所としては最高裁判所が
ある。
 これら通常の裁判所以外に、憲法問題を審理する憲法裁判所、軍関係の事件を審理する軍事裁判所、行政事件を審理する行政裁判所がある。
 タイの裁判所は陪審制ではなく、職業裁判官により審理される。判決に要する期間については、第一審の場合、約6ヶ月から3年程度を必要とされる。ただし、労働事件は、労働者保護の観点から短期間で修了することが予定されている。知的財産権及び国際通商事件を審理する知的財産権・国際通商裁判所でも審理促進の方策がとられている。
 
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タイ国弁護士制度
 
 タイで一般的に言うところの「弁護士」には3種類があり、それぞれ許される業務の領域が明確に異なる。
 
その1。
 「法的助言」を行うだけなら、何も司法試験を通過する必要もない。タイ弁護士会が承認する機関(通常は大学の法学部)で学位(学士)を取得していればOK。弁護士法などにも抵触しない。
 
その2。
 裁判所に書面を提出するなどの法律実務に関与するためには、1に加えて「経験」と「試験通過」が必要となる。@弁護士事務所で1年間の研修を経て弁護士試験をパス、あるいはA先に試験に合格した後に6ヶ月間の研修を受けるかだ。順番はどちらでも構わない。
 
その3。
 さらに法廷に立って訴訟を遂行するためには、1と2に加えてタイ法律家協会による学位が必要となる。通常は1年間の研修受講後、得ることができ、裁判官や検察官には必須とされている。
 
 値段が安いからと頼んでいた「弁護士」が、実は法廷に立つ資格までは持ち合わせていなかったということもありうるのがタイの制度。依頼をする前には是非一度、確認を。
 
 なお、タイでは法律の専門職はタイ国民(タイの市民権を持っていること)に限られているので、そのことも念頭に。次回は、タイ従業員を雇用する際の注意点。
http://anngle.org/culture/business/taijustice02.html
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