時効期間が経過した労働保険料等の還付請求の可否について
                  大阪弁護士会所属
                      弁護士 服 部 廣 志
       
冒頭記載の問題については、下記のような点を検討すべきこととなると思われる。
 
一 公法上の債権と国税等
1 公法上の債権の分類と性質
2 公法上の債権のうち、国税等の特殊性とその内容
 
二 国税通則法等
1 国税通則法72条2項以下の規定の趣旨と理由
2 国税通則法56条、74条の趣旨と理由等
3 国税徴収法の趣旨と理由等
三 労働保険料と国税等
1 国税等と労働保険料との異同とその内容
2 労働保険の保険料徴収に関する法律41条の趣旨と射程距離
3 労働保険の保険料徴収に関する法律29条、41条2項等に関して
イ 同法令の趣旨
ロ 労働保険料と国税に関する国税通則法72条2項との関連など
 
四 公法上の不当利得返還請求権と還付請求との関係
五 還付請求と行政処分の取消、行政裁量との関連等
 
六 実例など
 2003年7月30日の朝日新聞・毎日新聞なとの報道によると
 京都南労働基準監督署は、時効を理由として返還を拒絶していた過払い労働保険料を、返還することとした、とのこと。