ねつ造証拠提出、証拠隠匿による公訴棄却の法理
 
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                  大阪弁弁護士会所属
弁護士 五右衛門
 
一 違法収集証拠排除の原理、法則
  違法収集証拠排除の原理、法則とは、「証拠の収集手続が違法であった場合に、その収集された証拠の証拠能力を否定し、刑事裁判における事実認定の資料から排除する原則である」と言われています。
  この違法収集証拠除の原理ないし法則を適用する場合、その証拠の信憑性ないし信用性は関係しないこととされ、違法収集証拠除の原理ないし法則を適用した場合、真犯人を処罰しない結果となることがあり、それでもやむを得ないとされるものです。。
 
二 ねつ造証拠提出、証拠隠匿による公訴棄却の原理、法理
1 前記違法収集証拠排除の原理、法則法則の根拠については、種々議論がある。
  その根拠議論を踏まえて検討すべき事項ではあるが、同趣旨の法理として、「ねつ造証拠提出、証拠隠匿による公訴棄却の原理ないし法則」というものを肯定すべきである。
 
2 検察官による、ねつ造証拠の提出や証拠隠匿というような、刑事裁判における実体的真実の探求を阻害する悪質な行為が、みられ初めてきている。
  このような行為は、刑事裁判の否定であり、国家権力に刑事裁判と犯罪者を処罰する権能を付与する根拠、前提を否定するものである。
 
3 従って、検察官による、ねつ造証拠の提出や証拠隠匿というような、刑事裁判における実体的真実の探求を阻害する悪質な行為が行われた場合、検察官、国家権力から、当該刑事裁判手続きを遂行する権限を剥奪すべきであり、既に公訴提起がなされている場合には、その公訴提起の続行は許さないものとして、公訴を棄却すべきである。