返せ計算くん・著者の言葉
 
              大阪弁護士会所属
                 弁護士 服 部 廣 志
 
 消費者金融業者の増大と増益 その一方で、消費者金融の高金利に泣く多くの庶民がいる。
 消費者金融業者らは、高金利の利息金を徴収しているにもかかわらず、過払い金の返還請求に対しては、返還請求を受けた後に法定の遅延損害金を付するということしか認められてこなかった。不公平、不正義である。
 
 特に、過去10年にも及ぶ反復貸付、反復弁済というような取引事例において、また、貸金業法を遵守しておらず利息制限法を超過する利息金の保持が認められないことを十二分に知悉している消費者金融業者らに対する過払い金返還請求について、返還請求後の遅延損害金の付加計算のみでは、不公平、不正義である。場合によっては10年もの長期間にも及ぶ取引のなかでは、過払い金が発生する毎に民法704条所定の利息金加算をし、その後の借受金との相殺計算をし、法律に従った正常な債権債務関係の清算をすべきである。
 
 平成15年8月の神戸地裁姫路支部判決に続き、東京地裁も平成15年10月に過払い金について民法704条所定の利息金の付加計算を認める判決をしており、今後は、このような利息金を付加した相殺計算が全国の裁判所において認められていくものと思われる。
 
 しかしながら、10年にも及ぶ反復弁済、反復借受取引について、電卓で、過払い金の発生の都度、利息金加算をしたうえ相殺計算をすることは非常に煩雑であり、消費者金融実務を担当する弁護士らの闘争意欲を阻害する要因にもなる。
 
     道具は、心と意欲をかきたてる!!
 
 このような発想から、過払い金について、利息金加算をして相殺計算を自由に選択できる道具として、「返せ計算くん」を制作した。
 
 もとより十二分なものではないかも知れない。
 しかし、公刊以降、インターネット上の販売ページにおいて、不具合の補正プログラムのダウンロード提供、また各種の計算書の追加ダウンロード提供を11月末現在8回を重ねてきており、また購入された弁護士らの方の要望をも取り入れた計算書のダウンロード提供も開始し、今後も可能な限り、各種の計算パターンの計算書をも追加提供することを検討している。
 本書を購入された方には、今後も、無償で追加提供を継続していく予定である。
 
 「返せ計算くん」の意味を理解された全国の弁護士らが購入してきており、東京弁護士会館ブックセンターにおいては、発売直後の月から、売り上げベストランキングに登場し、10月はベストランキング16位、11月には12位となっている。
 
 多くの弁護士らの、実務の有用道具となることを希望するとともに、今後もより便利なより多様性を持った計算書に改善提供や追加提供を追求していくつもりである。