高速道路上での進路妨害行為と致死傷に関する罪
−−東名高速道路死亡事故を契機として−−
 
               大阪弁護士会所属
                   弁護士 五右衛門
 
一 東名死亡事故の基本的「犯罪定型 」
 
(往来妨害及び同致死傷)
124条 陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉塞して往来の妨害を生じさせた者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
(傷害)
204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(傷害致死)
205条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。
(殺人)
199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
 
二 観念的競合
 
致死傷について、故意がある場合には
 往来妨害罪(1項)と殺人罪(傷害罪)との観念的競合
 
三 陸路の閉塞概念について
 
1 車線の閉塞を陸路の閉塞と言えるのか、、、、
2 損壊、、、使用不可、、、一車線使用不可、、、一車線損壊 と同視、、、可能か
 物件存置との質的差異を どこに求めるのか、、車線空間の大部分の閉塞か否か、、、か、、、避けて通行可能か否か、、、か
3 車線空間について、単一車線単位で考えてよいのか、片側全車線で考えるべきなのか
 中央分離帯がない場合、片側全車線閉塞しても、対向車線の使用により通行可能なことを 閉塞概念との関係で、どのように考えるのか
4 陸路の閉塞とは、、、何か、、、
 
四 禁止行為
 
道交法76条3項(119条) 
 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。