MLからの一方的退会措置、除名について
−−徒然なるままに、整理しながら、記載していきます−−
−−法的結論をだす前に、法律以前の裸の、中途半端な整理をしています−−
−−−−−−−−−未完成!!−−−−−−−−−−
                大阪弁護士会所属
弁護士 五 右 衛 門
一 ML管理の自由について
1 MLをどのようにするかというMLの管理については、当該MLの創設者ないし管理者の自由であると一般的には考えられている。
その具体的内容を類型で分類してみる。
イ MLの参加資格をどうするか
ロ MLへの投稿内容と投稿方法の制限、限定
ハ MLからの除名要件をどうするかなど
2 上記のようにMLの管理は、ML管理者の自由意思に委ねられている理由、根拠を考えてみる。
  イ 公の秩序に反しない任意の投稿団体である。
  ロ 創設するも、解散するも、管理者の自由であること。
  ハ 参加するか否かは、参加者の自由意思に委ねられており、退会するか否かも参加者の自由意思に委ねられていること。
  ニ 投稿団体といえるとしても、社会的実在としての団体性は希薄であり、社会的に実在する団体と把握して法的規制を検討するには、現在のMLの実態からすればなじまない側面が強いこと。 
二 MLからの一方的退会措置の問題点
1 MLから一方的に退会措置がとられた場合の問題点を検討してみる。
  イ 参加者本人の参加意思を一方的に拒絶することとなる。
  ロ ML投稿を介して構築した人的関係を剥奪する結果となる。
  ハ 一方的退会措置をとられたという社会的事実が、当該退会措置者の名誉感情を侵害する畏れがあり、また場合によっては社会的名誉を侵害する危険性が皆無とは言えない。
2 一方的退会措置についてML上での告知ないし宣言の有無
  イ 一方的退会措置についてML上での告知ないし宣言がなされていない場合、他のML参加者には、退会措置は直には判明しない。
  ロ 逆に、告知ないし宣言がなされた場合には、他のML参加者に直ちに判明することとなり、当該人の名誉感情ないし名誉に関連してくるか。
    これをどのように考えるか。 
三 MLへの法的規制の困難性ないし問題点
1 法的規制の介入の肯否は、そのMLという投稿団体が、「社会的実在というべき団体性」を保持しているのか。
  保持しているとして、その団体性の程度はどうか、という点にかかる。
2 「社会的実在としての団体性」の有無については、
  イ 目的の明確性
  ロ 代表者の有無、団体としての意思決定手続きなどの規約の有無
  ハ 構成員と独立した資産の有無と管理の方法、程度など
 を総合して判断されることとなる。
3 他方、ML独自の要素としては
  イ 投稿のみの活動か否か
  ロ 投稿以外に、いわゆるオフミーティングなどといった会合が開かれているか否か。
  ハ 投稿、オフ会以外の活動がなされているのか否か、その内容。
 などが、前記の判断の資料として考慮されることとなる。
1 上記のような既成の法的枠組みで、この問題を処理することで十分なのかという問題点もある。
 高齢化社会を迎えるなか、特に、一人暮らしの高齢者のような特殊事例を考えると、その人の唯一ともいえる社会との接点を閉鎖、剥奪する結果となるというような極端な事例も想定できないわけではない。
  いずれにしても、単なる投稿団体という評価以上の役割と機能を保持していく可能性もあり、このMLという投稿団体は、未だ発展段階にあるものといえよう。
 
  MLの法的規制については、MLの社会生活上で果たしている役割と機能を注意深く観察しながら、検討していく必要があるように思える。