ネット詐欺 SEO,MEO詐欺(的)行為について
 
              大阪弁護士会所属
                弁護士 五 右 衛 門
 
一 悪質SEO業者の存在
 
1 SEO対策を受任すると称する「悪質な、詐欺ではないかと疑われるトラブル」がある。
2 2〜30万円程度の訴額で、被害者の居住地から遠隔地の裁判所に訴訟提起し、訴訟に応訴する気力を喪失せしめて、金員を詐取しているのではないかと疑われるケースがある。 
 
二 詐欺的行為の内容など
 
1 詐欺的ではないかとの疑いがある行為には、多種多様なものが想定されるが、下記のようなものも、その一例ではないかと考えている。
 
2 疑問のある受任業務の内容について
 
@ 多数の、テキストリンクを、ウェブサイトやブログに設置し
A 多数の、検索エンジンに登録代行手続きをする
B @及びAにより、顧客の指定するウッブサイトが、複数のウェブサイトから指示されているウェブサイトとして、検索エンジンにより認識され、当該検索エンジンにおける検索順位が上昇する
C であろうとのロジックに依拠するとして
D 「多数の、テキストリンクを、ウェブサイトやブログに設置すること」及び「多数の、検索エンジンに登録代行手続きをすること」を業務として受任するとして、その対価を請求するもの。
 
 しかしながら、上記には多くの疑問がある。
 
 世界的に著名なGoogleは、その「ウェブマスター向け公式ブログ・良質なサイトをより高く評価するために」において、下記のように論述している。
http://googlewebmastercentral-ja.blogspot.jp/2012/04/blog-post_25.html
 
@ 検索ユーザーが素晴らしいサイトを見つけて情報を得る、その手助けのために Google は多くの検索アルゴリズム変更を行っています。
 
A これまでも良質なサイトを適切に評価するために様々なアルゴリズムの変更を実施してきましたが
 
B この変更によって影響を受けるサイトは、・・共通して言えるのは、検索結果の掲載順位を人為的に操作するためにホワイトハット SEO を逸脱した SEO を行っているということです。
 
 上記のとおり、Googleは、検索エンジンのアルゴリズムについて、「良質なサイトをより高く評価するために」変更を継続的にしてきており、前記のような「検索順位を人為的に操作するための方策」について、「SEOを逸脱したSEOである」と述べ、そのような行為については、「不当なものである」と指摘している。
 
 さらに、 Googleは、
http://support.google.com/webmasters/bin/answer.py?hl=ja&answer=35291
「自由参加型のリンク、リンクのトラフィック対策、または何千もの検索エンジンへのサイトの登録申請などによる効果を宣伝している SEO 業者は避けてください。これらの対策はほとんど無意味で、主要な検索エンジンにおける検索結果の掲載順位には影響を及ぼしません。少なくとも、ユーザーから見て効果があったと判断できるような掲載順位にはなりません。」と述べ、前記のような「疑問のある受任業務」について、「無意味である」と指摘するとともに、「そのようなSEO対策を行うという業者は避けて下さい」と注意を喚起しているのです。
 
  皆さん、騙されないようにしましょう!!
 
三 上記を見ても、SEO契約の締結をしようと考えられる方へ
 
1 SEO詐欺の被害でやっかいなのは、詐欺被害者が「詐欺であることを理解できない」という点にあります。
イ 検索エンジンにおけるウェブの掲載順位という、ITが苦手な人には、その構造の理解が困難であること。
ロ 「SEO対策措置」という概念自体は存在し得ること。
ハ 「SEO対策措置」の効果は測定し難いこと
などが、その理由とも思われます。 
 
2 SEO契約の多くは詐欺であるということが理解できない場合には、SEO契約条項を見て下さい。その中には自動更新条項が記載されています。契約を締結してみようと考えられるなら、この自動更新条項を削除させて下さい。
 
3 契約の相手方が最もらしい分析レポートを提出してくるかもしれません。しかし、それらの多くは、下記Googleウェブマスタ−ツール(無償)によるものである場合が多いのです。
 「契約の相手方は何もしていない場合が多い」のです。騙されないようにして下さい。
 「契約の相手方は、1,2分で終わるようなMETA keywordsを変更する」という作業程度はしたかもしれません。しかし、それは、1万円以上の手数料をとるようなものではないのです。
 
四 検索エンジン対応措置はGoogleなどが教えてくれます。
 
1 Googleウェブマスタ−ツール(無償)で、Googleが問題点を教えてくれます。 
 
https://www.google.com/webmasters/tools/dashboard?hl=ja&siteUrl=http://www2.ocn.ne.jp/~zunou/&sig=ALjLGbMPaCQMI1tp2d4TOLYKKetqbMEy5g
 
2 Googleウェブマスタ−ツール(無償)は、有償のSEO対策請負業は詐欺的であることを教えてくれているのかもしれません。
 
五 新手MEO詐欺
 
1 従来のような単純なSEO詐欺行為ではなく、最近、「Googleマップ」での「上位表示を目的とする」という、新手の詐欺的行為が現れています。
  Map Engin Optimization
 
2 この手法の特徴は
店舗を構えている、個人事業主を、ターゲットとし(クーリングオフの適用を排除し)
A 従来、同様の、甘言を用い
B 初期費用を減額する、ないし無料にする等の、詐欺的甘言を用い
C 契約締結後の、違約について、違約金を設け
るような類のもののようです。
D 解約の申し出に対しては、「既に、SEO措置を講じている」などと虚言を使い、
E 違約金条項を盾に取り
金銭を要求するようです。
 
3 クーリングオフについて
 
  事業主についてはクーリングオフの適用はないというような形式論理ではなく、事業主についてはクーリングオフの適用除外がなされている法律の趣旨を実質的に検討し、例え個人事業主であったとしても、クーリングオフの適用を肯定する(クーリングオフ適用除外規定の限定解釈などにより)方策を検討すべきであるし、立法論としても、再検討、法律の改正が必要である。
  名古屋高裁平成19年のクーリングオフ適用事例の趣旨を、もっと、実質的に拡大解釈し、その法理を適用していくべきである。
 
六 SEO MEO詐欺(師)からの電話
 
1 詐欺集団は、交付する名刺に記載してある電話番号とは。異なる電話番号を使用する場合があります。
 
2 名刺ではなく、彼らからかかってきた電話について、その番号をメモしておいて下さい。
 
七 SEO MEO詐欺(師)契約の特徴
 
1 SEO MEO詐欺業者の,請け負う,施策内容について,「営業上」の秘密」と称して,公開しないこととなっている。
 
2 要するに,SEO MEO詐欺業者が「何をしたのか,していないのか」,全く知ることができない契約内容となっている。
 
3 また,「効果,成果の有無等」については,SEO MEO詐欺業者らが判定ないし彼らの提供する検索ツールを使用するというような契約になっている場合が多い。