酒気帯び運転は無罪、飲酒量誘導の可能性…大阪地裁
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 当て逃げ事故を起こし、道交法違反(酒気帯びなど)と業務上過失傷害の罪に問われた堺市内のリフォーム業の男(35)の判決公判が11日、大阪地裁であった。公判では男の飲酒量を巡って争われ、内田貴文裁判官は「飲んだビールの本数が後で不自然に増えるなど、捜査側の誘導の可能性がある」などとし、酒気帯び運転については無罪、業務上過失傷害罪などについては罰金20万円(求刑・罰金30万円)の有罪判決を言い渡した。
 
 判決によると、男は昨年5月3日未明、大阪市内でトラックを運転し、乗用車に追突。運転席の男性に軽いけがを負わせた。
 男は事故前に知人と飲酒しており、事故から5時間半後に出頭。当時の飲酒検知では酒気帯び運転のアルコール濃度の基準値(呼気1リットル中0・15ミリ・グラム以上)を下回ったが、府警は男の体重や飲酒量、飲酒後の経過時間から体内のアルコール濃度を推計する計算式「ウィドマーク法」を適用、酒気帯び運転を立件した。
 男の場合、計算式からビールを2115ミリ・リットル以上飲むと基準値を上回る。
 公判で検察側は「2人でビールの中瓶(500ミリ・リットル)を7本飲み、男が4本半(2250ミリ・リットル)を飲んだ」と主張。男は「2人で5〜6本飲んだと話したのに(昨年7月25日の)取り調べで『もっと飲んだはず』と言われ続け7本ぐらいとされた」と反論した。
 
 判決で内田裁判官は「調書では当初5〜6本だったのに、事故から2か月以上過ぎて本数が7本と明確になるのは甚だ不自然。飲酒した店への裏付け捜査も2か月余り怠っていた」と指摘。公判供述などから「飲酒量はビール3〜3・5本」と認定し、ウィドマーク法を適用すれば、アルコール濃度は0・042ミリ・グラムと基準値を下回るため、酒気帯び運転は認められない、と結論づけた。
 
 弁護人の服部廣志弁護士は「飲酒運転の摘発は重要だが、ウィドマーク法の信用性を保つためにも、捜査側は厳密な運用を心がけてほしい」と話している。
(2007年6月12日 読売新聞)
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 国選弁護事件である。
 
 酒気帯び運転をしたこの被告人が(保有アルコール濃度如何にかかわらず)責められるべきは当然ではあるものの、この判決を論評するネット上の記載のなかには、近代刑法が人権保障の砦として確立した罪刑法定主義への理解が全くないようなものも見受ける。
 中学校で教えていると思うのですが、、、??
 
                           弁護士五右衛門