民法等の一部を改正する法律
 
第一条 民法(明治二十九年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
 
第七百六十六条第一項中「その他」を「、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の」に改める。
第七百六十六条第一項中「協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。」を「この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」に改める。
第七百六十六条第三項中「前二項」を「前三項」に改める。
第七百六十六条第三項を第七百六十六条第四項とする。
第七百六十六条第二項中「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の監護をすべき者」を「家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定め」に改める。
第七百六十六条第二項中「その他」の下に「子の」を加える。
第七百六十六条第二項を第七百六十六条第三項とする。
第七百六十六条第一項の次に次の一項を加える。
2  前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
第七百九十七条第二項中「ない。」の下に「養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする。」を加える。
第八百二十条第一項中「者は、」の下に「子の利益のために」を加える。
第八百二十二条第一項中「者は、」の下に「第八百二十条の規定による監護及び教育に」を加える。
第八百二十二条第一項中「自ら」を削る。
第八百二十二条第一項中「懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れる」を「懲戒する」に改める。
第八百二十二条第二項を削る。
第八百三十四条を次のように改める。
(親権喪失の審判)
第八百三十四条  父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。
第八百三十四条の次に次の一条を加える。
(親権停止の審判)
第八百三十四条の二  父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。
2  家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、二年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。
第八百三十五条を次のように改める。
(管理権喪失の審判)
第八百三十五条  父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができる。
第八百三十六条の見出しを次のように改める。
「(親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消し)」
第八百三十六条第一項中「前二条に」を「第八百三十四条本文、第八百三十四条の二第一項又は前条に」に改める。
第八百三十六条第一項中「前二条の規定による親権又は管理権の喪失の宣告」を「それぞれ親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判」に改める。
第八百四十条の次に次の二項を加える。
2  未成年後見人がある場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは未成年後見人の請求により又は職権で、更に未成年後見人を選任することができる。
3  未成年後見人を選任するには、未成年被後見人の年齢、心身の状態並びに生活及び財産の状況、未成年後見人となる者の職業及び経歴並びに未成年被後見人との利害関係の有無(未成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と未成年被後見人との利害関係の有無)、未成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。
第八百四十一条第一項中「父又は母が」を「父若しくは母が」に改める。
第八百四十一条第一項中「親権を失った」を「父若しくは母について親権喪失、親権停止若しくは管理権喪失の審判があった」に改める。
第八百四十二条を次のように改める。
第八百四十二条  削除
第八百四十九条の見出しを次のように改める。
「(後見監督人の選任)」
第八百四十九条第一項中「前条の規定により指定した未成年後見監督人がない場合において必要があると認めるときは、家庭裁判所は、未成年被後見人」を「家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被後見人」に改める。
第八百四十九条第一項中「未成年後見人」を「後見人」に改める。
第八百四十九条第一項中「未成年後見監督人を」を「後見監督人を」に改める。
後段を削る。
第八百四十九条の二を削る。
第八百五十二条第一項中「、第八百四十三条第四項」を削る。
第八百五十二条第一項中「、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三」を削る。
第八百五十二条第一項中「、後見監督人」を「後見監督人について、第八百四十条第三項及び第八百五十七条の二の規定は未成年後見監督人について、第八百四十三条第四項、第八百五十九条の二及び第八百五十九条の三の規定は成年後見監督人」に改める。
第八百五十七条第一項中「、未成年被後見人を懲戒場に入れ」を削る。
第八百五十七条の次に次の一条を加える。
(未成年後見人が数人ある場合の権限の行使等)
第八百五十七条の二  未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使する。
2  未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、その一部の者について、財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができる。
3  未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
4  家庭裁判所は、職権で、前二項の規定による定めを取り消すことができる。
5  未成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
 
 
附則 (平成二三年六月三日法律第六一号) 抄
(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。
(民法の一部改正に伴う経過措置の原則)
第二条  第一条の規定による改正後の民法(次条において「新法」という。)の規定は、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、第一条の規定による改正前の民法(次条において「旧法」という。)の規定により生じた効力を妨げない。
(親権及び管理権の喪失の宣告に関する経過措置)
第三条  旧法第八百三十四条の規定による親権の喪失の宣告は新法第八百三十四条本文の規定による親権喪失の審判と、当該親権の喪失の宣告を受けた父又は母は当該親権喪失の審判を受けた父又は母とみなす。
2  旧法第八百三十五条(破産法(平成十六年法律第七十五号)第六十一条第一項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による管理権の喪失の宣告は新法第八百三十五条(破産法第六十一条第一項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による管理権喪失の審判と、当該管理権の喪失の宣告を受けた父又は母は当該管理権喪失の審判を受けた父又は母とみなす。
3  旧法第八百三十四条又は第八百三十五条の規定による親権又は管理権の喪失の宣告の請求(この法律の施行前に当該請求に係る審判が確定したものを除く。)は、新法第八百三十四条本文又は第八百三十五条の規定による親権喪失又は管理権喪失の審判の請求とみなす。