悪魔の囁き・その２

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満員電車のなかで、若い女性の隣になると、

　　　　　　　いつも、お尻を向けるようにしていた。

　若い女性と、満員電車のなかで、向き合うなんて、

　　　　　　　　　　　実直太郎には・・できることではなかった。

　

ある日、

　いつものように、憂鬱そうな顔で、通勤電車に乗っているとき、

　　　　　　　　電車が急カーブを高速で走行したことから、

　満員電車で立っていた実直太郎は、バランスを失い、

　　　　　　身体を支えようと・・その手が、空を舞った・・・

　　　　　　　　　　隣に立っていた若い女性の　豊満な胸に触れていた

　

　あっ、しまった！！・・・・と思ったものの・・・　

　　　　　　　　　　　　　不可抗力だ、誤解しないで・・・！！

　そう・・・心の中で、叫ぶ！　実直太郎・・・・

　

　　しかし、その若い女性は、

　　　　　　　　　ただ、顔を赤らめ・・・じっと、うつむくだけ！！

・・・・・・・・うん？

　気弱で、実直一本の

　　　　　　　　　　　実直太郎の心の中で

　　　　　　　　　　　　　　　　悪魔がささやき始めていた

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（悪魔の囁き）

　太郎

　　　見てごらん！！　　胸に触れたのに、怒りもしないで・・

　　　　　　じっと、下を向いているだけじゃん！！！

　　　　少し、くらいなら、大丈夫なんだよ！！

　　　　　　　　　　　ほれ、今度は、少し・・お尻に触れてごらん！！

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・・・・・・・

・・・・・・・

以前は、満員電車に乗る際、

　　　　　　　　　　　いつも憂鬱そうな顔をしていた実直太郎

何故か・・？？

　　　　　　　最近は、いきいきとしている？？

　　　　　　　　　　　満員電車に乗るのが、さも、楽しそうにさえ、見える？

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数ヶ月後、

　　大阪府警エンゼル隊に

　　大阪府迷惑防止条例違反（痴漢容疑）で、現行犯逮捕された男の

顔写真が新聞報道されていた。常習犯の見込みというコメント付きで・・・

　　勤務先では、実直一本、仕事一本という好評価を受けていた

　　　　　　　　　　　某大企業のエリート部長実直太郎の顔であった。