新聞報道
 
刑事裁判で有罪、民事は無罪
         控訴審で和解−記事内のコラム
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 交通死亡事故をめぐっては、罰則強化する道交法改正案
が国会委に提出され、厳罰化の流れが一層強まっている。
 その一方で刑事、民事の認定が全く逆になった今回のケ
ースのように、司法判断の「ぶれ」を危惧する声は根強い。
 今回の刑事裁判では有罪と認定しながら、「(無罪を求
める)男性の主張も全く虚偽として排斥できない」と指摘。
 だが、刑事ほど厳格立証がなくても事故を認定できる民
事裁判では、事故そのものを否定し「事実上の無罪」を言
い渡した。
 「加害者」の男性は、被害者の遺族側双方に残ったのは
司法への不信だけともいえる。控訴審では「新たな物証も
ないのに、裁判所は・事故があったという心証で・和解を
勧告してきた(男性側代理人)。取材には応じていない
が、遺族側も裁判所に強い不満を抱いているという。
 国レベルの厳罰化に先立ち、すでに司法の現場では先
月、大阪地裁で大型トラックの事故で2人が死亡した業務
上過失致死事件で、運転手の男性が・控訴中・求刑(禁固
1年6月)を上回る懲役1年10月を言い渡されている。
 支持する声が多かったが、「世論に影響され、単純過失
の事件により重い刑を科すのは慎むべき」(法曹関係者)
という意見もあった。
 「警察の捜査はもちろんだが、被害者、加害者双方が納
得いくよう、そもそも刑事裁判の証拠判断を慎重にして欲
しかった」(男性側代理人)と当事者が訴えるのは当然だ
ろう。
 ひとつひとつの事件への慎重な対応を忘れてはいけな
い。(広瀬一雄)
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 男性の代理人は「事故を認めたわけではないが、保険金を
支払うこととなる保険会社とも協議し、人が亡くなったとい
うことを重くみて、和解に応じることにした」と民事での争
いに終止符を打った理由を説明している。
         (平成13年3月13日付産経新聞朝刊)
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 男性側代理人弁護士は、大阪弁護士会所属弁護士服部廣志である。
 本件刑事判決は、「刑事裁判における立証責任」や「合理的な疑いを残さ
ない程度の心証」といったことを理解しない極めて不当な判決であった。
 何故、このような刑事判決がなされるのか、その問題の所在はどこにある
のか等を真剣に考える必要がある。
 決して、これは他人ごとではないのである。
 いつ、あなたもこのような事件に巻き込まれるかもしれない。
                           弁護士五右衛門)