耳なれない交通傷害ジストロフイ−
 交通事故、誰でも被害者になる可能性がある。
 ここでは、交通事故が原因で発症する可能性のある「耳なれない疾病」の概略を簡単に説明することとする。
 医学の講義ではないので、アバウトな説明であるが、交通事故を原因として、下記のような疾病が発生する可能性があることを知っていることは有用かもしれない。
 反射性交感神経性ジストロフイ−(RSD)
 発生のメカニズム
 交通事故による外傷等の侵害刺激が加わる−−防御反応として、一過 性の交感神経緊張状態が生じる−−抹消血管が収縮−−局部の出血や炎 症を沈静化する。
 これが、一過性で終わり、血管が拡張され、組織の修復が行われれば 問題は起きない。正常、生理的である。
  ところが、本来、一過性でよかったものが、何らかの原因により、交感神経が過剰に反応し−−交感神経の緊張状態が持続すると−−長期の血管収縮−−局所が、低酸素状態、栄養の低下等発生−−「疼痛」発症
 この疼痛が、新たな侵害刺激となり−−悪循環発生−−RSDとなる。
2 原因疾患
イ 骨折・捻挫等の外傷が−−50%以上
ロ 注射・手術が原因となることもあるという。
ハ 原因不明のものもあるという−−困ったもんだ。
3 症状
局部の持続する激痛、疼痛
 皮膚に触れるだけで−−疼痛誘発
 身体を動かすだけで−−疼痛誘発 
 持続する激痛、疼痛のため−−不眠症、不穏症誘発
皮膚症状
 初期−−皮膚の発赤、腫脹、皮膚温の上昇、発汗過多
 やがて−−皮膚は光沢を失い蒼白、萎縮、皮膚温の低下、発汗減少
 爪の変形、出現進行
 当初−−皮膚や皮下柔らかいの浮(水)腫−−持続すると−−関節の腫脹、硬化が出現−−関節拘縮を引き起こす
4 レントゲン所見
3−4週間    軽度の骨萎縮像
6−8週間    手根骨、足根骨、関節周囲に斑点     状の骨萎縮出現
症状持続     骨萎縮 患肢全体に広がる
 
5 対処方法
 この症状が発現したら、速やかに治療を受けることが必要であり、慢性化すると治療が困難であるらしい。
(今日の整形外科治療指針・順天堂大学教授山内裕雄ほか2名編集・医学書院発行より)
 院内感染が社会問題となっているように、最近は第一次の疾病よりも、第二次的な疾病が恐い。
 これもその一つかも知れない。
 また、厄介なことに、精神的な興奮等により、これらの症状は憎悪して灼熱痛を引き起こすことがあるらしい(カウザルギー)(東京地裁平成6年11月24日判決)(2割減額例=横浜地裁平成5年3月29日判決)。