代理店の責任・義務に関連する裁判例と教訓等
                      大阪弁護士会 弁護士服部廣志
 保険代理店のコンプライアンスに関連すると思われる裁判例のいくつかを、ご紹介し
、皆さんと、考えてみたいと思います。
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保険契約−締結ないし更新手続き−に関し、代理店の義務違反を肯定した裁判例
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イ 前橋地裁高崎支部−平成8年9月5日−判決
**更新手続きをしない契約者には、信義則上、更新の意思を確認する義務あり
−−代理店に−200万円の損害賠償を命じた
 
ロ 松山地裁今治支部−平成8年8月27日−判決
**契約者の契約継続記の利益を保護するため、某保険会社が契約を拒否して
 いることや他社とも契約が締結できないこと知らせる信義則上の義務がある
−−契約者に8割の過失相殺をした後の−120万円の損害賠償命じた
 
ハ 東京地裁−平成6年3月11日−判決
**保険契約を実行あるものとするために、少なくとも契約者に対し、本件契約の
 保険料の額、支払い方法並びに支払期限及び支払い期限を徒過した場合の保険代
 理店の処置を伝えるべき保護義務を負っていたと考えるのが、信義則に適う。
−−契約者に8割の過失相殺をした後の−110万円の損害賠償命じた
 
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保険契約−締結ないし更新手続き−に関し、保険会社義務違反を否定した裁判例
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イ 福島地裁−平成11年5月14日−判決
**契約を継続するために、原告方に関係書類を持参し保険料を集金していたもので
 はあるが、これは保険会社が顧客を配慮しての営業上のサービスとして行われたも
 のに過ぎない・・・
−−請求棄却
 
ロ 東京高裁−平成11年2月3日−判決
**本件保険契約を執行させないよう保険を維持管理する旨の準委任契約が成立した
 とは・・・認めることができない
−−請求棄却
 
ハ ロ記載の東京高裁判決の−一審東京地裁判決
**本件保険契約を失効させないよう保険を維持管理する旨の準委任契約が成立した
 ものと認めるのが相当
−−595万円の損害賠償を命じた
 
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保険契約−約款・条項等の説明−に関連する裁判例
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イ 札幌地裁−平成2年3月29日−判決
**代理店及び契約者が約款を誤解して、両者間に、商品の盗難被害にも保険金が支払
われるとの合意があったとしても、そのような合意は保険契約締結の動機の形成に過ぎず
、当該保険約款とは異なる特約をする合意であるとか約款を変更する合意とみることは
できない。
−−原告の保険金請求を棄却
 
ロ 那覇簡裁−平成11年12月16日−判決
−−盗難不担保特約付の車両保険について、保険会社の社員が、「中古バイクでも15
万円までは盗難を含む車両保険で担保される」旨回答していた。
**不担保特約不適用の合意ない。
**損害については、誤った説明と盗難被害との間の相当因果関係否定
 
ハ 東京高裁−平成3年6月6日−判決
 
**大塚教授からお話があると思います。
 
ニ 東京高裁−平成7年4月28日−判決
−−ドライバー保険の「同居の親族所有車両運転除外規定」と告知義務
**告知義務否定・除外規定の不実説明認定せず。
−−原告の保険金請求を棄却
 
ホ ニ記載の東京高裁判決の一審判決・東京地裁−平成4年10月27日−判決
−−ドライバー保険の「同居の親族所有車両運転除外規定」と告知義務
**告知義務・告知義務違反認定
−−約200万円の損害賠償を命じた
 
ヘ 東京高裁判決−平成11年3月19日−判決
−−積立傷害保険と「他覚症状なき頸部症候群・腰痛、免責条項」と告知義務
**保険契約者が、普通保険約款を承認し認められるから・・本件免責条項の説明を受
けていないとしても、右約款によらない特段の合意がない限り、・・普通保険約款に従
う意思であったというべきである
−−請求棄却
 
ト ヘ記載の東京高裁判決の一審判決・宇都宮地裁足利支部平成11年3月16日−判決
−−積立傷害保険と「他覚症状なき頸部症候群・腰痛、免責条項」と告知義務
**約款まで認識しないことが間々見受けられる。他覚症状なき頸部症候群・腰痛に一
切保険金が支払われないものとすれば、あまりに保険会社に有利に働くこととなり、不
当な結果を招来する。拘束力を否定すべきである。
−−74万円余の請求認容
 
チ 旭川地裁−昭和57年10月29日−判決
−−用途変更通知・裏書き承認必要約款と告知義務
**告知義務否定
−−請求棄却
 
教訓その他
 
イ 
ロ 
ハ 
ニ 
ホ 
ヘ 
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